お風呂

文次郎と二人で生活する為に借りたマンションの風呂は、男二人が一緒に入るには少し狭い。いっぱいに湯を張っても溢れて流れていってしまうので、最近では最初から半分程しか張らないことにしている。我ながら賢い選択だと思う。

「あっちー…」
「ならばもうあがればいいだろ、逆上せるぞ」
「だってお前はまだ入ってるんだろ」
「…お前、どれだけ私のこと好きなんだ」
「うっせ」

文次郎の脚の間に収まって、膝を抱えて肩まで浸かる。私は長風呂が好きだが文次郎は苦手なようで少し首を捻り顔を見ると火照って真っ赤になっていた。それでも私に合わせてまだあがらないという。こういうとき、愛されている、と思う。

「私もお前が思ってる以上にお前が好きだぞ」
「なんだよいきなり…」

前を向いたまま呟くと文次郎に後ろから髪を梳かれた。こいつは照れた時に必ず私の髪を触る。
学生の頃は正直モテた(私がな)。それでも文次郎と共に生きるという道を選んで良かったと思っている。派手な恋愛ではないが、一緒に同じものを食べたり掃除をしたり、休日に昼過ぎまでベッドで過ごしているだけで幸せだ。風呂だって一緒に入っているだけで嬉しい。…私も相当こいつに惚れているらしい。

「…だから風呂から出たらコンビニに行こう。そして私にハーゲンダッツを買え。抹茶な」
「お前な、給料日前なんだからもっと遠慮しろよ」

すぐにこうして可愛げのないことを言う私のこともちゃんと理解してくれる奴もこいつだけだ。あつい、アイスが食べたい。文次郎はため息をつきながらも立ち上がる。私も一緒に湯船から出て、その後いつものように髪を拭いてもらった。過保護だって?いいんだよ、こいつは私のことが大切なんだ。勿論、私も同じくらい大切にしているがな。…秘密だぞ。

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一回消えてしまったので少し手を加えて、やっと書けました…!
素直な仙蔵って可愛い。強がってても可愛い。
どんな仙蔵も全部可愛いと思ってる文次郎も可愛い。
はよ結婚しろ!!
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